EXHIBITIONS

桑久保 徹 A Calendar for Painters without Time Sense. 12/12

2020.12.12 - 2021.02.07

桑久保徹 エドヴァルド・ムンクのスタジオ 2019 個人蔵 Photo by Kenji Takahashi ©︎ Toru Kuwakubo Courtesy of Tomio Koyama Gallery

桑久保徹 フィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホのスタジオ 2015 木俣博文氏蔵 Photo by Kenji Takahashi ©︎ Toru Kuwakubo Courtesy of Tomio Koyama Gallery

桑久保徹 ピエール・ボナールのスタジオ 2019 林郁氏蔵 Photo by Kenji Takahashi ©︎ Toru Kuwakubo Courtesy of Tomio Koyama Gallery

桑久保徹 アメデオ・クレメンテ・モディリアーニのスタジオ 2019 個人蔵 Photo by Kenji Takahashi ©︎ Toru Kuwakubo Courtesy of Tomio Koyama Gallery

桑久保徹 ヨハネス・フェルメールのスタジオ-3月 2016
木炭、紙、LPレコード(日高理樹による《ヨハネス・フェルメールのスタジオ-3月》および桑久保徹のための楽曲入り)
作家蔵 Photo by Kenji Takahashi ©︎ Toru Kuwakubo Courtesy of Tomio Koyama Gallery

 神奈川県を拠点に活動する気鋭の画家・桑久保徹の公立美術館では初となる個展が開催。絵画の巨匠をオマージュした「カレンダーシリーズ」が完結する。

 桑久保は1978年神奈川県生まれ。2002年多摩美術大学絵画科油画専攻卒業。現代美術に立ち向かうための方法として、自分のなかに「架空の画家」を見出し、「彼に描かせる」という演劇的アプローチから創作をスタートさせる。「VOCA展2012」奨励賞、第三回絹谷幸二賞(2011)などを受賞。これまで、ニューヨーク、ロンドン、ベルリン、東京ほか世界各地で個展を開催。油絵具を盛り上げるなどの古典的な技法やモチーフを用い、心象風景を現代的かつ物語性豊かに紡ぎ出す表現は、国内外で高い評価を受けている。

 近年、桑久保が取り組んでいるのは、美術史に輝く巨匠をオマージュした「カレンダーシリーズ」。一連の作品では桑久保によって選ばれた、エドヴァルド・ムンク、フィンセント・ファン・ゴッホ、アメデオ・モディリアーニなどの巨匠が12ヶ月にあてはめられ、カレンダーの「月」に見立てられている。画面には巨匠たちの息遣いが漂い、鮮やかな色彩と描かれた様々なモチーフが溶け合うことで、時空を超えた共鳴が生まれる。

 本展は、1〜12月まで完成した「カレンダーシリーズ」とともに、関連するドローイングが一堂に会する初の展覧会。桑久保は各作品において過去の巨匠の生きた時代・制作の時間を、現在の私たちの時間・生活と比較することで、時間の概念を強く感じさせる異次元空間を演出することを試み、また現代美術の新たな理解と視座を得ることを企図する。