EXHIBITIONS

特別展

海を渡った古伊万里~ウィーン、ロースドルフ城の悲劇~

2020.11.03 - 2021.03.21

ロースドルフ城の陶片の間

ロースドルフ城の陶片の間

ロースドルフ城

白磁大壺(組み上げ修復) マイセン窯 20世紀初頭 ロースドルフ城

色絵唐獅子牡丹文亀甲透彫瓶(部分修復) 有田窯 1700〜1730年代 ロースドルフ城

色絵松竹梅鶴文八角大皿(修復) 有田窯 1700~1720年代 ロースドルフ城

 東京・虎ノ門の大倉集古館で特別展「海を渡った古伊万里~ウィーン、ロースドルフ城の悲劇~」が開催。本展では、第二次世界大戦直後に破壊された、ロースドルフ城の「悲劇のコレクション」を公開している。

 ロースドルフ城はオーストリア・ウィーン近郊にある古城。古伊万里を中心とした陶磁コレクションが多数所蔵され、かつてそれらは城内を美しく飾っていた。しかし、第二次世界大戦後の悲劇により、陶磁コレクションの大半は粉々に破壊されてしまう。城主であるピアッティ家はその時に破壊された陶片を捨てずに集め、平和への祈りを込めて後に城の一室を「陶片の間」として一般公開する。

 本展では、ロースドルフ城の陶磁コレクションと、破壊された陶片を日本の技術によって修復し復元した作品を紹介。ロースドルフ城の陶磁コレクションの主要作品をオーストリア国外で展示するのは本展が初めてであり、会場ではロースドルフ城「陶磁の間」の様子も一部再現する。

 また、佐賀県立九州陶磁文化館所蔵の古伊万里の名品を合わせて展示。江戸〜明治における日本磁器の成立と技術の完成を振り返りながら、海外輸出によって世界へと広がり人々を魅了する「IMARI」の姿を見せる。

 ロースドルフ城の城主は、「大切なコレクションのかたちは壊れたとしても、その魂は永遠である」と語る。本展は、陶磁器の修復工程や技術を知り、その技によって再生する美しき魂にふれることができる、またとない機会となる。

※大倉集古館は、政府の緊急事態宣言の発出を受け、1月12日より本展を休止。2月20日より再開し、3日21まで会期を延長して開催(当初の会期は2020年11月3日~2021年1月24日)。詳細は公式ウェブサイトへ。