EXHIBITIONS

あしたのひかり 日本の新進作家 vol.17

2020.07.28 - 09.22

岩根愛 Tenshochi, Kitakami, Iwate 「あたらしい川」より 2020 作家蔵

「日本の新進作家」は、写真・映像の可能性に挑戦する将来性のある作家を発掘・支援し、新しい創造活動の展開の場として2002年より開催されてきた。17回目となる今回は「象徴としての光」と「いまここを超えていく力」をテーマに、写真・映像をメディアとする作家5組を紹介する。

 参加作家は、福島県三春町に拠点し、移民を通じたハワイと福島の関わりをテーマに制作を続ける岩根愛、夢について語られた言葉・写真・絵・音など、多様なイメージを共感覚的に行き来しながら、現実とファンタジーが混交する独自の物語世界を紡ぐ赤鹿麻耶、国境や紛争地域を取材したドキュメンタリー写真を手がけ、ボーダー(境界線)が日常生活にどのような影響を与えるかを探る菱田雄介、子供から大人へと成長する過程にある無名の少女たちを被写体に、少女らの自由な行動や発想から作品を生み出す「世界を見つめる」シリーズなど、SNSを中心に作品を発表する写真家ユニットの原久路&林ナツミ、実父の遺品となったレンズで東日本大震災の被災地を撮影し、そこに傷のついた家族写真を挿入した「The Restoration Will」など、写真に強靭なメッセージを込める鈴木麻弓。

「光」は写真・映像メディアの本質要素であるとともに、人々の日常に遍在するもの、また希望の象徴でもある。5組の作家は「光」を重要な要素として扱い、いま既存のモデルやこれまでの価値観が揺らいでいる時代にあって、自身を取り巻く世界をどのように感じ取るのかという独自のビジョンを提示している。