NEWS / HEADLINE - 2019.3.19

第44回「木村伊兵衛写真賞」は岩根愛に決定。受賞作は、福島とハワイをつないだ写真集『KIPUKA』

1975年に創設され、すぐれた作品を発表した新人写真家を対象とする「木村伊兵衛写真賞」。その第44回受賞者が岩根愛に決定した。受賞作品展は、ニコンプラザ新宿 THE GALLERY 1(4月23日~5月2日)、ニコンプラザ大阪 THE GALLERY(6月13日~19日)で開催される。

岩根愛『KIPUKA』より

 第44回(2018年度)「木村伊兵衛写真賞」受賞者が、岩根愛に決定した。

 写真家・木村伊兵衛の業績を記念し、1975年に創設された同賞。第44回のノミネート作家は岩根愛、金川晋吾、川崎祐、露口啓二、富安隼久、ミヤギフトシの6名で、選考委員は石内都、鈴木理策、ホンマタカシ、作家の平野啓一郎の4名が務めた。

 今回受賞した岩根は、91年に単身渡米・留学の後帰国し、アシスタントを経て96年に独立。その後はフィリピンの刑務所やロシアのサーカス団など特殊なコミュニティの取材に取り組み、2006年以降はハワイにおける日系文化に注視。13年から福島県三春町を拠点に、移民を通じたハワイと福島のつながりを追って制作を行ってきた。

岩根愛

 受賞作の『KIPUKA』(青幻舎、2018)は岩根にとって初となる写真集で、夏の3ヶ月間にわたりハワイの約90の仏教寺院で開催される「ボンダンス」を軸としたもの。その元となっているのは、かつて福島からハワイへ、移民とともに渡った盆唄「フクシマオンド」。岩根は、その原曲「相馬盆唄」の故郷が11年の福島第一原発事故により避難区域となっていることや、18年にハワイ島で発生した大規模な溶岩流などを追いつつ、熱気にあふれる「ボンダンス」を率直に写し撮ってきた。

 選考委員の石内都は同書について、「『KIPUKA』に結集するまでの時間の経過と誠実な仕事ぶりは、彼女のもっている資質なのかもしれない」と評している。

岩根愛『KIPUKA』より

 推薦人による推挙の時点から、岩根を推す数が最多だったという今回の選考。アサヒカメラ編集長の佐々木広人は選考にあたって、「推薦から最終選考までの過程では、現代の写真表現をめぐる課題、ありようなどがさまざまに語られました。いまや1秒間に25万枚の写真が撮影されていると言われています。(中略)もはや『ただ撮る』だけでは不十分ですが、『プラスα』があっても必ずしも評価されるとは限らないのです。そんな困難な時代の写真表現とは何なのか。写真家たちに課された問いは難解です」と語っている。

 なお受賞作品展は、4月23日~5月2日にニコンプラザ新宿 THE GALLERY 1で、6月13日~19日にニコンプラザ大阪 THE GALLERYで開催される。