EXHIBITIONS

project N 79

糸川ゆりえ

糸川ゆりえ Moonlit, early morning 2019

 注目の若手ペインターを紹介する展覧会シリーズ「project N」の今回は、透明色や銀色、パール、ラメなどを用いて、光の効果を取り入れた詩的な絵画を手がける糸川ゆりえの個展を開催する。

 糸川は1988年三重県生まれ。12年に武蔵野美術大学油絵学科油絵専攻を卒業し、14年に同大大学院造形研究科美術専攻油絵コースを修了。初期では、トレーシングペーパーや金属板などを支持体とした作品を発表する。15年頃にキャンバスに移行。いまでも主としている透明色や銀色などの絵具を使って描くようになる。

 糸川は自身の日記や書き留めたエッセイ、メモをベースに作品を制作し、そこには星座やボート、植物や人物などのモチーフが繰り返し登場する。乱反射する光のなかで、例えば人物では性別を判別できないほど、糸川はモチーフの輪郭線を曖昧にぼかし、描かれるすべてが溶け合うような不思議で詩的な作品世界をつくり上げる。

 本展では、今回のために制作された新作《Lay on the grass》をはじめ、近年発表された人や植物がモチーフの作品も並ぶ。