EXHIBITIONS

坂茂建築展

仮設住宅から美術館まで

2020.05.11 - 07.05

スウォッチ本社 © Didier Boy de la Tour

 大分県立美術館は開館5周年を記念し、同館の設計者である世界的建築家・坂茂の大規模個展を開催。坂が手がけた美術館やコンサートホールなどの数々の建築物から被災地支援の活動まで、その取り組みの全貌を紹介する。

 坂は、中国の伝統的な竹編み帽子から発想を得た屋根の構造を持つ「ポンピドゥー・センター・メッス」(フランス、2010)や、パリ郊外セガン島の音楽ホールを中心とした複合音楽施設「ラ・セーヌ・ミュジカル」(2017)など、世界各地の建築設計に携わってきた。

 そのいっぽうで、1995年の阪神淡路大震災の「紙のログハウス」や「紙の教会」、2011年の東日本大震災に活用された「避難所用間仕切りシステム」、また08年の中国・四川大地震の復興支援では「成都市華林小学校紙管仮設校舎」を建てるなど、災害支援活動にも協力。これら多方面に及ぶ活動が高く評価され、14年に建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞を受賞した。

 本展では、坂が35年にわたって行ってきた設計活動を、写真や図面、映像、加えて多数の実物大模型で紹介。継続してきた災害支援活動にも焦点を当てながら、子供から大人まで楽しめる内容で、離れた場所にある建築を臨場感あふれるダイナミックな展示を展開する。

 街に開かれた美術館への構想など、同館のコンセプトを体験できる会場構成も見どころ。大分県立美術館の建物の特性を活用し、坂が設計にあたってコンセプトとした「街に開かれた縁側としての美術館」を体感できる機会となる。