EXHIBITIONS

奈良原一高「Rrose Sélavy」

奈良原一高『Rrose Sélavy』(2018、奈良原一高アーカイブズ+東京パブリッシングハウス) © Ikko Narahara © Association Marcel Duchamp / ADAGP, Paris & JASPER, Tokyo, 2018 G1308 Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

奈良原一高『Rrose Sélavy』(2018、奈良原一高アーカイブズ+東京パブリッシングハウス) © Ikko Narahara © Association Marcel Duchamp / ADAGP, Paris & JASPER, Tokyo, 2018 G1308 Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

 写真家・奈良原一高のポートフォリオ『Rrose Sélavy』がタカ・イシイギャラリー 東京 ビューイングルームで展示されている。

 奈良原は1970年代に瀧口修造の依頼で、アメリカ・フィラデルフィア美術館が所蔵するマルセル・デュシャンの《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも(通称:大ガラス)》を撮影。透過性のあるガラス作品を展示室に溢れる光の移ろいのなかで撮影された一連の写真は、『デュシャン大ガラスと瀧口修造シガー・ボックス』として91年に出版された。

 今回展示されている『Rrose Sélavy』は、『デュシャン大ガラスと瀧口修造シガー・ボックス』のなかから代表的なイメージ7点を収録し、2018年に刊行されたもの。写真作品としては未発表のままであった「大ガラス」シリーズより、奈良原と親交のあるアーティスト・岡崎和郎がセレクトした写真7点をクリスタルプリントで透明かつ色鮮やかに甦らせ、また同じく奈良原と親交の厚いグラフィックデザイナーの勝井三雄が装丁を手がけた『Rrose Sélavy』は、奈良原の写真作品の再考に加え、奈良原を中心とした勝井と岡崎の関係、またその背後のデュシャンと瀧口という、作品を巡る様々な関係性を想起させる。