EXHIBITIONS

アルプスが生んだ絵本画家

エルンスト・クライドルフ展

2019.07.06 - 08.25

エルンスト・クライドルフ 『花を棲みかに』より《山の草原》 1926 小さな絵本美術館蔵

エルンスト・クライドルフ 『くさはらのこびと』より《車に乗るこびとたち》 1902 小さな絵本美術館蔵

エルンスト・クライドルフ 不詳(小人と森の精) 1913 小さな絵本美術館蔵

エルンスト・クライドルフ クレマチス 1913 小さな絵本美術館蔵

エルンスト・クライドルフ 『ふゆのはなし』より《氷のダンス》 1924 小さな絵本美術館蔵

エルンスト・クライドルフ 『花のメルヘン』より《夜のぬすびと》 1898 小さな絵本美術館蔵

『くさはらのこびと』『ふゆのはなし』『庭の夢』など数々の絵本を手がけた画家、エルンスト・クライドルフの展覧会が開催される。

 1863年、スイス・ベルンに生まれたクライドルフは、祖父母の住む東ドイツの農村で幼少時代を過ごし、森や野原で草花や虫を観察して、スケッチすることを好んだ。その後、画家を志してミュンヘンに移り、リトグラフ師として働きながら絵を学んだ。しかし多忙な生活から体調を崩し、南バイエルンの街パルテンキルヘンで静養。アルプスの大自然で小さな生き物たちの世界と再会したクライドルフは、草花や虫たちを擬人化した絵本『花のメルヘン』を制作し、絵本画家としての新たな道を歩んだ。

 クライドルフの絵本は、多色刷りの透明感ある色彩と精緻な観察にもとづく描写が特徴。草花や虫、小人や妖精など、小さな生き物たちが息づく世界を描いた絵本を創造し、20世紀初めにかけてヨーロッパで花咲く絵本芸術の草分けとなった。

 本展では、世界有数のクライドルフ作品を所蔵する小さな絵本美術館(長野県)の協力のもと、絵本を中心とする貴重な作品資料約200点を関西で初めて紹介。日本をはじめ世界中で愛される、美しく幻想的な絵本芸術を楽しみたい。