EXHIBITIONS

奥宮誠次 写真展「原発ガーデン Derek Jarman: Eden in the shadow of Dungeness」

ギャラリー イー・エム 西麻布
2019.06.04 - 06.22

撮影=奥宮誠次

撮影=奥宮誠次

撮影=奥宮誠次

撮影=奥宮誠次

『カラヴァッジオ』『エドワードII』など、マイノリティをテーマとした耽美な作品を残したイギリスの映画監督、デレク・ジャーマン。その晩年の姿を撮影した写真家・奥宮誠次の個展が開催されている。

 ジャーマンは1942年生まれ。舞台美術家、詩人、園芸家としても活動。生前に自らゲイである公表した。86年にHIVに感染。ロンドン南東、ドーバー海峡をのぞむダンジェネスに住まいを移す。原子力発電所が2基建つ、漁師に捨てられたこの荒地でジャーマンは、草花だけでなく流木や腐敗した鉄なども素材に独創的な庭をつくり、「眺望」「期待」の意味を冠した漁師小屋「プロスペクトコテージ」で終生を過ごした。

 奥宮がジャーマンに出会ったのは89年の夏のこと。奥宮はジャーマンが亡くなる1年半ほど前まで、「死に向かうもの」を集めてダンジェネスで楽園をつくろうとしたジャーマン、庭、遠くに見える原子力発電所を撮影した。94年、ジャーマンが逝去。それから25年後、ふたりの逢瀬を知る写真は詩とともに『原発ガーデン』(百年書房)に収められた。

 本展では『原発ガーデン』より、ジャーマンの最晩年をとらえたモノクロ写真25点が初公開されている。