伊藤隆介「ゴーストワールド Ghost World」

　伊藤隆介は1963年北海道生まれ。88年東京造形大学卒業、92年にシカゴ美術館附属大学大学院を修了。手づくりのミニチュアや張りぼて風のセットをビデオ撮影し、その拡大映像と並置することで、現実とメディアの関係を提示する映像インスタレーションや実験映画を発表してきた。

　これまでの主な個展に「天神洋画劇場」（三菱地所アルティアム、2016）、「天王洲洋画劇場」（児玉画廊｜天王洲、東京、2016）、「All Things Considered」（札幌宮の森美術館、2014）。近年のグループ展に「The Remains of Cinema」（Künstlerhaus Graz、オーストリア、2018）、「札幌国際芸術祭2017」（モエレ沼公園、2017）、「高松コンテンポラリーアート」（高松市美術館、2016）など。80年代より村雨ケンジ名義で雑誌などにマンガ批評を多数寄稿しており、2013年には「ほっかいどう大マンガ展」（札幌芸術の森美術館）を企画した。

　本展は、伊藤がここ数年興味を抱く超常現象をめぐる受容史や、怪談や劇映画といった「眼には見えないもの」のイメージ化をテーマに、大小のビデオ・インスタレーションで構成される。カラクリ模型と映像の時間軸をシンクロさせ映像メディアの仕組みの面白さや、モチーフとなる模型に内在する記憶、歴史などを顕在化させる作品を主としてきた伊藤作品の新境地に注目したい。