岩崎貴宏「Layer and Folding」

　銀座 蔦屋書店の店内のイベントスペース「GINZA ATRIUM」で、歯ブラシや文庫本の栞、シャーペンの芯など身近なものから繊細で儚い風景をつくり出す岩崎貴宏の個展が開催される。

　岩崎は1975年広島県生まれ。広島市立大学芸術学研究科博士課程修了、エジンバラ・カレッジ・オブ・アート大学院修了。2018年にエジンバラ・カレッジ・オブ・アートより名誉博士号を受位した。個展のほか、第10回リヨン・ビエンナーレ（フランス、2009）、ヨコハマトリエンナーレ（2011）、水と土の芸術祭2018（新潟県）や、「日産アートアワード2015」（BankART Studio NYK、横浜）、「MAMコレクション005 リサイクル＆ビルド」（森美術館ギャラリー5、東京、2017）など国際展やグループ展にも多く参加。2017年には、第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館代表に選出されている。

　本展では、書店という展示スペースを意識して手がけた最新作を展示。車窓から見える鉄塔や架線といった郊外の風景を、布や糸でつくり上げた「アウト・オブ・ディスオーダー（フレーム）」、書籍の栞を解いて制作されたクレーンと本が建設中のビルを思わせる「テクトニック・モデル」の市リースで構成された空間は、スクラップアンドビルドを繰り返す都市を俯瞰する天上からの視点を表現し、儚くも美しい地球に生きる人間の生を意識させる。