EXHIBITIONS

増山士郎「Tokyo Landscape 2020」

増山士郎 Tokyo Landscape 2020 2018

 2010年より唯一の日本人芸術家として、イギリスの北アイルランド・ベルファストを拠点に活動する増山士郎の個展が京都と東京の2会場で開催される。

 増山は1971年生まれ。インスタレーション、パフォーマンス、映像など多様な表現メディアを駆使し、都市や人々の生活空間に介入する数多くのユニークなアートプロジェクトに取り組んできた。ベルファストの街の巨大なジオラマや映像ととに可視化した《The Heart Rocker》(2011)や、自らのアーティスト生活の厳しい現実をありのままに示した《アーティスト難民》(2009)などの作品からは、同時代の政治や社会状況に対するユーモアを交えた鋭い批判精神を見ることができる。

 本展のテーマは、東京オリンピックの開催を2020年に控えた「現代日本」。2011年3月11日に発生した東日本大震災と福島第一原子力発電所事故から7年、復興をテーマに掲げたオリンピックに向けた建設ラッシュが、かえって被災地の復興を遅らせるという矛盾や、避難住民への慰謝料の支払いを打ち切って進められる帰還政策など、増山の目に映った日本社会の歪んだ風景を、強い皮肉を込めたインスタレーションとして表現する。
 
 そのほか、様々な日用品をセメントで石棺化したオブジェの展示や、ガイガーカウンターで放射能を測りながら、自動車で東京から福島までを旅行した11年のドキュメント映像などを公開する。