EXHIBITIONS

風能奈々「私はそこに行ける。あなたも」

小山登美夫ギャラリー京橋
2026.01.17 - 02.21

風能奈々 月の満ち欠け 2025 パネルにアクリル絵具 130.2 x 130.2 cm ©︎Nana Funo

 小山登美夫ギャラリー京橋で、風能奈々による個展「私はそこに行ける。あなたも」が開催されている。

 風能は、自身の生活における体験や感覚、感情を起点に、時空を超えた世界を主題とする絵画作品を制作してきた。最初に描いた画面を絵具の層で覆い、その上から新たなモチーフを描く手法を特徴とし、過去の記憶や時間、物語が重なり合う画面構成を通して、独自の物語世界を形成している。

 本展では、新作ペインティングを発表。風能の作品は、描かれた層と覆われた層が関係し合うことで、奥行きという言葉では捉えきれない空間的な複雑さを生み出す。そうした制作過程を通じて、画面には過去と現在が交錯する構造が立ち上がる。今回の展示においても、異なる時間や記憶を内包する表現に注目する。

 新作では「異なる時間を包む」という関心のもと、月を思わせる円形のモチーフが繰り返し描かれた。また、「魚の種、果物の骨、時間が経つと忘れてしまう」と題された作品では、日常の出来事や記憶を起点としたモチーフが取り上げられている。これらの作品には、自身の身近な環境や体験に由来する要素が反映されている。

 さらに、本展に出品される作品には木のモチーフが描かれており、松やヤドリギなど身近な植物から着想を得つつ、下書きを行わず、実際の対象を見ずに描かれた「概念の木」として構成されている。これらのモチーフを通して、過去から現在、未来へと連なる時間や人の営み、自然との関係性が重層的な物語として示される。