ローマン・オンダック「Breath on Both Sides」

　タカ・イシイギャラリー 京都で、ローマン・オンダックによる個展「Breath on Both Sides」が開催されている。

　ローマン・オンダックは1966年旧チェコスロバキア・ジリナ生まれ。現在はスロバキア・ブラチスラヴァを拠点に活動している。ブラチスラヴァ美術アカデミー（1988〜94）とスリッパリー・ロック大学（1993）で絵画を学び、日常における習慣的行為への介入を行う手法を用いて、インスタレーションや彫刻、参加型のパフォーマンスなどを制作してきた。

　本展は、オンダックにとって日本での2度目の個展であり、ブラチスラヴァにあるアトリエや自宅など身近な環境から抽出された要素を用いた作品を紹介する。これらの要素は変換、解体、再構成され、展示空間に配置される点に特徴がある。作品は日本の伝統的な町家を会場とする空間に置かれ、そこに新たな文脈を与えられたオブジェが展示されている。

　また《Swapped Roles》《Sitting Door》といった作品タイトルが示される作品も含まれる。会場内外を隔てるガラス窓に配置された風船による作品をはじめ、黒いアクリル絵具によって部分的な情報のみが読み取れる《Message》と題されたポストカード作品などが展示。

　これらの作品は、オンダックが制作過程で取り入れた身近な環境や素材を通して、新たな物語が生まれる可能性に注目する構成となっている。