イ・スンヨル「Good Afternoon, Good Evening, and Good Night」

　PURPLEで、イ・スンヨルによる個展「Good Afternoon, Good Evening, and Good Night」が開催されている。

　イ・スンヨルは1994年生まれ。ソウル在住。第18回写真批評賞（2021）、第6回釜山国際写真祭ポートフォリオレビュー優秀作家（2022）に選ばれるなど、韓国の新鋭作家だ。空間を解体し再構成する過程で生じる歪みを意図的に追求。様々な構造物や建物を含む空間の見方を再解釈している。スンヨルのシリーズは一貫して、写真のなかの内と外、空間の中の内と外を繰り返し反転させ、平面と立体を行き来することにより、観者の知覚と感覚を揺さぶる。空間のかけらを集め、ひとつの構造物をつくることで、空間の可変的な属性や視点によって現れるエラー、平面媒体である写真から発現する空間感に対する制作を続けている。

　スンヨルは、本展タイトルを映画『トゥルーマン・ショー』の最後のセリフから付けており、トゥルーマンがつくられた世界から外の世界へと出ていくときの挨拶の言葉だ。それは内と外とが重なり交差していくスンヨルの作品の在り方を暗示し、私たちのいる空間と写真へのを問いを投げかける実験となっている。