EXHIBITIONS

平野真美「変身物語 METAMORPHOSES」

2024.11.30 - 2025.01.12

Mami HIRANO Metamorphoses_Resin skeleton 2024 Cプリント 29.7 × 42 cm

 Maki Fine Artsで、平野真美による個展「変身物語 METAMORPHOSES」が開催されている。

 架空の生物であるユニコーンを実在化し、骨格・内臓・筋肉・皮膚などを精巧につくり込んだ「蘇生するユニコーン」(2014~)は、現在進行形で継続する平野の代表的なプロジェクトであるが、それと同等に「変身物語」(2018~)も平野のライフワークとしてのプロジェクトである。

 愛犬の遺骨が納められた骨壺をCTスキャンし、3Dプリンタで出力した遺骨を硝子や陶磁に作品化した「変身物語」は、喪失した存在をいかに現実世界に留めておくのか、その永遠化の試みを実践したもの。パート・ド・ドヴェールという古代メソポタミア発祥のガラス工芸テクニックを用いて、またはセラミックにより、遺骨の一部を蘇らせる。

 本展では、2018年から続くプロジェクトに、新たなプロセスが加わり、拡張した「変身物語」を発表。遺骨のレントゲン写真に加え、頭蓋骨を描いたドローイングや、3Dプリンタ出力の樹脂製の骨のパーツを構成し、一体の犬の姿を象った写真作品などが新作として展示。「変身物語」という作品タイトルは、古代ローマの詩人オウィディウスの同名の著書より引用されており、同著書冒頭のラテン語テキストを題材とした新作も展示している。