怪力の魅力

　北斎館で「怪力の魅力」が開催されている。

　生涯で何度も名前を変えた北斎が「葛飾北斎」の名前を用い始めた40代後半、おもに活躍していたのが読本挿絵の分野だ。様々な怪力の人物が古今東西の物語に登場するが、江戸の読本の世界でも力持ちたちが驚くべき怪力を発揮して物語を力強く彩った。そのような登場人物たちの怪力を北斎は挿絵のなかで迫力満点に描きだした。

　また、70代後半の北斎は、『和漢絵本魁』やその続編『絵本武蔵鐙』など武者絵の絵手本を出版。それらのなかで北斎は「すべて勢ひを画んには風流古雅をはぶき俗意にして画く」と迫力ある人物の描き方について自身の画法を説明している。

　本展では、北斎の版本作品を中心にそういった怪力の表現に注目。風景画や美人画だけではない北斎の迫力ある人物表現の魅力を堪能してほしい。