EXHIBITIONS

Permission to Drive / パーミッション・トゥ・ドライブ

2024.11.24

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 東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科は、展覧会などの企画を実践する授業「キュラトリアル実践演習」の一環として、2024年11月24日に、キュラトリアルプロジェクト「Permission to Drive / パーミッション・トゥ・ドライブ」が開催されている。

 2枚のLEDスクリーンと背面のスピーカーが搭載されたアドトラックを使用し、6名の招聘アーティストの作品を首都圏を周遊しながら上映、展示する。

 本プロジェクトでは、芸術と都市空間の関係性について考えるとき、たんに対立や介入する姿勢ではなく「都市空間の規制や境界線と共存すること」をテーマにしている。今回紹介する作家たちの映像・写真・音声メディア作品は、いずれも各々の仕方で都市空間と対峙し制作されたものとなっている。

 木村華子の作品は、一時的な光景である「広告なき広告看板」を撮影し、都市における存在と不在の共存を私たちに提示。トモトシは、人の動きを変容させるような都市空間への些細な介入を行う。イブラヒム・オワイス、ケイト・カー、SIDE COREの作品は、都市に潜む音をサンプリング、編集して作品を構築することで現実の時間や空間とは異なる世界を立ち上げている。サイモン・ヴェッケルトは、実際の都市空間とGoogleMapのようなウェブ上の都市空間とを往来するかのような仕方で、インタラクティブな作品やプロジェクトを発表してきた。

 そのような作品をどのような方法・場所で展示すべきかという問いに対し、キュレーションチームは芸術のために用意された場所ではなく、アーティストたちと同様、都市空間や社会制度と直接交渉し、展覧会の姿ををかたちづくってゆくことを試みたという。

 さらに、本企画は1日限りのアートプロジェクトに留まらず、2025年3月〜4月(詳細な会期は未定)に東京藝術大学大学美術館陳列館で展覧会やトークイベントの開催を予定している。そこでは、各作品の再上映・再展示、プロジェクトのアーカイブ映像プロジェクトのための申請書類や関連法令文などのキュレーションにまつわる資料に、新たなアーティストや作品展示も加わる。プロジェクトの企画過程で得られた発見や新たに浮上した視点を取り込み、たんなるアーカイブ展示を超えた、より発展的なキュラトリアル実践を目指す。