メイシャ・モハメディ「yesterday I was a tiny tube of toothpaste」

　Pace ギャラリーで、東京の⿇布台ヒルズに完成した新スペースのグランドオープンを記念し、アメリカ⼈アーティスト、メイシャ・モハメディの新作絵画展「yesterday I was a tiny tube of toothpaste」が開催されている。

　本展は、⾊彩とカリグラフィー的な抽象表現を巧みに⽤いるモハメディの物語性溢れる作品を紹介。モハメディにとって⽇本およびアジアで初となる今回の個展では、2023年から24年に制作された未発表の絵画に焦点が当てられている。

　これらは、約20年前のモハメディの⽇記に触発されたもので、彼⼥はその頃、短期間のあいだ⽇本で仕事をしていた。作品名の半数は、当時の⽇記に記された⼈々や訪問場所の名前に着想を得ている。モハメディは、この⼀連の絵画制作において⾃⾝が20代だった頃の精神空間に⽴ち戻り、活性化することで、海外での⾃⼰形成期と現在の⽣活における偶然や幸運な巡りあわせを織り交ぜている。

　このように、東京で発表される作品には、モハメディの絵画制作に特徴的な⼿法のひとつが照射される。それは、⽇常⽣活や⼈間関係から⽣まれる物語や場⾯を抽象化してつなぎあわせるというパッチワーク的な⼿法となっている。