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聞く / 聴く:探究のふるまい

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 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAで「聞く / 聴く:探究のふるまい」が開催されている。

 日本語の「きく」という言葉は、様々な意味を持っている。音や声を耳で感じること、受け入れること、尋ねること、耳を傾けること。また、聴覚に限らない感覚を働かせて識別することもまた、「きく」の持つ意味のひとつだ。そして、いずれの「きく」も、情報を認識し、それを受け止めるという点で共通している。その情報をもっと知ろうとするとき、「聞く」は「聴く」へと変化する。それは「探究」のはじまりであり、情報の送り手と受け手のあいだの関係性が深さを増していくことのあらわれでもある。

 本企画では、こうした「聞く / 聴く」を起点とする探究から生まれる芸術実践に注目し、そのあり方と可能性について探る。

 まず、展覧会は美術家・ファッションデザイナーの西尾美也、音文化研究者・サウンドアーティストの柳沢英輔と本展企画者による、装いとコミュニケーションのあり方を広義的にとらえ、音や環境との関係性から分析するための共同研究「わたしたちのまとうもの:装い、音、環境をめぐる考察と実践」に関するセクションから始まる。ここでは、同研究テーマにリンクする西尾・柳沢の作品に加え、京都市立芸術大学と東京藝術大学の学生によるアクション・リサーチなどの研究プロセスの展示と、誰でもこの研究に参加できる実験エリアを展開。

 また、「聞く / 聴く」に関連した学術的な芸術実践の海外での事例として、アーティストの研究を支える新たな博士課程制度「Creator Doctus」を修めたオランダ拠点の作家、フェムケ・ヘレフラーフェンによる、声、予測、AI、病気、コミュニティと死のあいだの複雑な関係を取り上げた近作、そして香港拠点の作家、ジェン・ボーが生物多様性と土壌生態学、植物の適応研究を専門とするふたりの科学者と協働した作品シリーズを展示。また会期中に、ジェン・ボーが2023年3月に京都で実施したトークシリーズがウェブサイトで公開される。