EXHIBITIONS
小村希史「ウインク」
AKIO NAGASAWA GALLERY AOYAMAで、小村希史による個展「ウインク」が開催されている。
「ウィンク」という言葉には、まばたきをする行為のほかに、何かを示唆する、暗示すること、そして情報やアイデアを与えるための小さな手掛かりという「ヒント」の意味がある。画家は絵を制作する過程で、その作品に向かってウィンクをすることがあるが、これは単眼で視覚を駆使し、立体的なキャンバスを平面的に見ることで、構図やプロポーション、色彩のバランスの崩れを見つけ出す行為だ。ウィンクをすることで、一時的に作品から離れ、客観的な視点で問題点や改善すべき点を発見し、試行錯誤を繰り返して表現を追求する。
複雑な現代社会は全体像の把握が難しく、極端な意見や価値観の対立が分断を深め、ポラリゼーションが進み、時に深刻な問題を引き起こしている。本展では、画家が制作過程で片目を閉じるように、私たちも社会の問題を客観的に見て、幾度もやり直しながらバランスをとり、より良い社会へ向かうことを目指す。「ウィンク」という展覧会タイトルには、そのような希望が含まれている。
今回の新作絵画は垂直に左右で分かれた画面構成となっている。片方の画面では筆致が目立ち、掠れや塗り残しが見られ、キャンバスの素材感や物質性を強調。これにより、観者に創造性や参加の余地を与えている。もういっぽうの画面では、ここ数年小村が取り組んできた手法「サブトラクト(Subtract=取り去る・差し引くこと)」を用い、筆致が取り除かれ、静けさの美を引き立てている。2021年に発表した水平に上下で異なる画面を描いた「地平線 Horizon」展と呼応したシリーズととらえることができる。これらは画面の対比が強調されているが、同時にバランスが存在しており、小村の一貫した問題意識と希望の兆しが込められている。
「ウィンク」という言葉には、まばたきをする行為のほかに、何かを示唆する、暗示すること、そして情報やアイデアを与えるための小さな手掛かりという「ヒント」の意味がある。画家は絵を制作する過程で、その作品に向かってウィンクをすることがあるが、これは単眼で視覚を駆使し、立体的なキャンバスを平面的に見ることで、構図やプロポーション、色彩のバランスの崩れを見つけ出す行為だ。ウィンクをすることで、一時的に作品から離れ、客観的な視点で問題点や改善すべき点を発見し、試行錯誤を繰り返して表現を追求する。
複雑な現代社会は全体像の把握が難しく、極端な意見や価値観の対立が分断を深め、ポラリゼーションが進み、時に深刻な問題を引き起こしている。本展では、画家が制作過程で片目を閉じるように、私たちも社会の問題を客観的に見て、幾度もやり直しながらバランスをとり、より良い社会へ向かうことを目指す。「ウィンク」という展覧会タイトルには、そのような希望が含まれている。
今回の新作絵画は垂直に左右で分かれた画面構成となっている。片方の画面では筆致が目立ち、掠れや塗り残しが見られ、キャンバスの素材感や物質性を強調。これにより、観者に創造性や参加の余地を与えている。もういっぽうの画面では、ここ数年小村が取り組んできた手法「サブトラクト(Subtract=取り去る・差し引くこと)」を用い、筆致が取り除かれ、静けさの美を引き立てている。2021年に発表した水平に上下で異なる画面を描いた「地平線 Horizon」展と呼応したシリーズととらえることができる。これらは画面の対比が強調されているが、同時にバランスが存在しており、小村の一貫した問題意識と希望の兆しが込められている。