EXHIBITIONS

久保修 紙のジャポニスム ~切り絵 線のかたち~

奥田元宋・小由女美術館
2024.07.04 - 08.27

久保修 菖蒲(アヤメ) 2020 久保修切り絵ミュージアム蔵

 奥田元宋・小由女美術館で「久保修 紙のジャポニスム ~切り絵 線のかたち~」が開催される。

 久保修は、1951年山口県美祢市生まれ。大学の建築科でパースを制作するなかで、紙を切る面白さを知り、独学で切り絵の制作を始める。和紙をベースにパステルやアクリル絵具、砂、布などを組みあわせた独自の技法と表現を確立。久保の切り絵は、描いた絵を和紙と重ねてアートナイフで切り抜き、残った黒線がすべてつながっているのが大きな特徴と言える。また、質感や立体感、遠近感により、光と影もが表現されている。

 作品を制作する傍ら、日本独自の「切り絵」を世界に紹介するため、文化交流使として様々な国を訪ね、展覧会やワークショップなども精力的に行っている。久保は、阪神淡路大震災での被災経験や、47都道府県を巡る旅を行うなかで、自然災害によってそこにあった文化や風景、人々の暮らしが失われていく様子を目の当たりにし、日本の原風景を切り絵にして残していく「紙のジャポニスム」と題した活動をスタートさせる。その活動は国内にとどまらず、2009年に文化庁文化交流使に任命されて以降は展覧会やワークショップなどの事業を計16か国以上で開催し、切り絵を通して世界中の人たちに日本文化を紹介している。

 本展では、美しい日本の原風景を切り絵にして残し、世界や未来に向けて発信している久保の作品を初期から近作まで幅広く紹介。