EXHIBITIONS

石川直也「自立しない人 –繋がりと作法–」

2024.05.31 - 06.29

石川直也

 LOKO GALLERY で、彫刻家・石川直也による個展「自立しない人 –繋がりと作法–」が開催される。

 石川は1987年東京都生まれ。2012年に東京藝術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻を修了し、現在は神奈川県で活動を続けている。彫刻思考による平面作品やライン彩色を施した抽象彫刻など、人間の認識や知覚に問いかけながら、彫刻と絵画といった境界を模索してきた石川は、長い歴史を持つ大理石という素材との対峙を通して「彫刻とは何か」という問いに向きあってきた。

 本展で紹介する、ひとりでは立つことの出来ない人体彫刻「自立しない人」シリーズの始まりは、石川が数年前に自身のアトリエをつくったときに遡る。

 傾斜地に位置したその土地は当初、制作はおろか人間が立つことすらままならない場所であった。石川はそこで初めて「土留め」という作業が必要であることを知る。家族や周辺の人々の協力のもと、木を切り平らな地面をつくるなかで、石川はこれまで自身が誰かによって既に平坦にならされた世界で生きてきたことに気づいたという。

 人間がいかにほかに依存して生き、つながりのなかで初めて立つことが出来ているのかという命題と出会い、その気づきは石川が「初めて自然と思えた彫刻」だと話す、以降の「自立しない人」作品の誕生へと接続されていく。本展は、1階から吹き抜けを経て2階へと続くギャラリー空間において、展覧会タイトルと同名の4つの彫刻作品が中心となって展開される。