EXHIBITIONS

特別展

時代とあゆむ袋物商 たばこ入れからハンドバッグまで

2024.04.27 - 05.26, 2024.05.28 - 06.30

いろいろな火打袋

 たばこと塩の博物館で、特別展「時代とあゆむ袋物商 たばこ入れからハンドバッグまで」が開催されている。

 和装が主流だった時代、貴重品や懐紙、たばこなどを携帯する際には袋物が用いられ、江戸から昭和の初め頃まで紙入れやたばこ入れがその代表的な存在となっていた。これらは懐に収めたり腰から提げたりして用い、装身具としても重要なものとされていた。たばこ入れは構成部品が多く、各部品に様々な素材が用いられることから、凝った装飾のものが多くつくられる。さらに明治9(1876)年に廃刀令が出されると、刀装具を製作していた腕のよい職人たちが袋物を含む日用品も手がけるようになり、たばこ入れは技術の粋を集めた美術工芸品として黄金期を迎えた。

 明治維新後は、西洋を手本とした近代化のなかで、和装での暮らしに寄り添ってきた袋物にも機能やかたちの変化が求められ、西洋由来のハンドバッグなどに近づく流れも生まれた。この時流を感じ取った日本橋の袋物商・井戸文人(いどぶんじん、1874~1923)は、大正8(1919)年に袋物に関する初の通史『日本囊物(ふくろもの)史』を著した。

 本展は『日本囊物史』に沿って、袋物、職人や袋物商たちの歴史について4つの章で概観。たばこ入れを中心とした様々なジャンルの袋物、金具などの部品、絵画資料や書籍など約300点の作品を通して、袋物の持つ用と美、時勢に呼応した変化、そして変わりゆく時代の需要に応え続けた職人や袋物商たちの仕事を紹介している。

 なお、本展では会期の前期と後期で一部作品を入れ替える。