崇高さに関する抽象的な覚書

　広島市現代美術館で、特別展「崇高さに関する抽象的な覚書」が開催されている。

「崇⾼さに関する抽象的な覚書」は、アーティスト・⽥⼝和奈が着想したグループショウで、同じくアーティストの松原壮志朗が展覧会の構成を担当した。

　それ自体が展覧会という枠組みを用いておこなわれる抽象的考察となっている。
　
『参加作家のひとりであるジョアン・カイガーは、アメリカ現代詩における様々な派閥と広く交流を持ちながらも、独自のスタイルを確立した詩人であった。ビートニクの運動がそうであったように、彼女の作品も「瞑想」や「仏教」、とりわけ「禅宗」からの影響を受けている。カイガーは1968年にデカルトの「方法論」を題材にした詩、「DESCARTES AND THE SPLENDER OF A real Drama of Everyday Life. In Six Parts.」をもとに「デカルト」と題したヴィデオ作品を制作している。このカイガーの残した生涯唯一のヴィデオ作品とストーリーが、この展覧会の霊感（インスピレーション）であり、かつ骨子である。

　展覧会の構成では、おもに2つのことを試みる。グループショウという枠組みをとらえ直し、そのうえでグループショウの可能性を模索すること。「近代美術」あるいは「現代美術」というカテゴリーの垣根を越え、作品の固有の振る舞いが、場の特性のなかで静かなダイナミズムを生み出すこと。展覧会自体がひとつの言外のマニフェストとなることを意識した』。（展覧会ウェブサイトより）

　出品作家は、ジョアン・カイガ―、イワオ・カゴシマ、アンソニー・カロ、岸田劉生、クレメット、須田国太郎、田口和奈、田中敦子、トリシャ・ドネリー、古屋誠一、パトリシア・L・ボイド、三木富雄、ナンシー・ルポ、アラン・ロンジノ、エミリア・ワンほか。