EXHIBITIONS

釘町彰「From the Land of Men」

釘町彰 Air (Gabi) 2022

 アートフロントギャラリーで、釘町彰の初個展「From the Land of Men」が開催される。

 釘町彰は1968横浜生まれ、パリ在住。幼少期をベルギーで過ごし、多摩美術大学院修了後パリ第8大学でメディアアートや作品の基盤となる哲学を学ぶ。

 釘町は「地球の素材」と呼ぶ精製され尽くしていないブリュットな天然の岩絵具、貝殻や松から採取られる墨、そして意図的に不純物の混ざる膠や和紙を用いて作品を制作する。自身が媒介者となり、描く手段、描くプロセス、そして素材とが同一であるというコンセプチュアルな絵画手法は、写真や映像という現代の機器を駆使しながらも、本居宣長の言う「表現と技法の一致」にも通じ、あるいは古くは藤原定家や世阿弥の幽玄論にもその源泉を見出すことができる。

 映像であっても絵画であっても、釘町は「作品はつねにプロセスであり、つくる人も観る人も、つねにプロセスの状況に居続ける」という点で一貫した作品を作り続ける。本展では、複数のスクリーンに投影される映像と、大型の最新作絵画とが様々な時間軸に沿って交錯し、その背後にある何か、或いはその「何か」の不在をインスタレーションを中心として発信する。