EXHIBITIONS

小松浩子 個展「Channeled Drawing」

2023.12.02 - 2024.01.20

小松浩子 Channeled Drawing 35.690642, 139.591094 2020
©︎ Hiroko Komatsu, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

 KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYで小松浩子の個展「Channeled Drawing」が開催されている。

 小松は1969年神奈川県生まれ。2009年の初個展以降、国内外で個展、グループ展に多数参加し、10年から11年にかけ、自主ギャラリー・ブロイラースペースを主催し、毎月個展を開催している。

 小松は夥しいほどの量の写真を、例えばロール紙のまま天井から床上まで広げたり、巻いたままの状態で不可視性も含めて提示するなど圧倒的な量感で展示する姿勢で知られる。本展は一転し、額装された白と黒の対になるミニマルな作品で構成されている。「Channeled Drawing」は、地面をフロッタージュした紙と、その紙をフォトグラムにて写真に転化させた作品が、対を成すシリーズ作品。余白部分には、緯度経度・年・手法/被害者数が印字されており、フロッタージュされた地点は殺人事件現場跡であることが示されている。

 殺人事件のなかでも、とくにシリアルキラーに興味があるとトークイベントでも語っていた小松は、道徳的に否とされる行為に駆り立てられてしまう衝動の奥にあるものへの関心が制作動機であると言う。暴力的な絶命は負の記憶のはじまりでもあり、加害者と被害者は表裏一体の円環に位置しているのかも知れず、作品のミニマルな表象からいくつもの根源的な疑問が導き出されるかのようだ。