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落合陽一展 「ヌルの共鳴:計算機自然における空性の相互接続」

 清春芸術村光の美術館で、「落合陽一展 『ヌルの共鳴:計算機自然における空性の相互接続』」が開催されている。

 本展は、デジタル自然のなかでの空虚性を精緻にとらえ、縄文時代と現代の計算機科学の接点で展開される。新作の有機的な変形ミラーとLEDによるヌルのインスタレーションが相互に影響を与える合わせ鏡となることで、物質と非物質、デジタルと有機的、現実と非現実の狭間で新しい共鳴が生まれる。

 縄文時代の人々が探求した自然との調和と一体化の理念は、現代の計算機自然において再発見される。空即是色色即是空の哲学が、この独特なメディアの交錯によってデジタルの"ヌル"として具現化されるのである。「有機的な変形ミラー」は、物質世界の柔軟性と流動性を反映し、縄文時代の遺伝子への探求と計算機自然との対話を促す。いっぽう、LEDによる 「ヌルのインスタレーション」は、デジタル自然の厳密な論理性と無常性を表現している。

 このような対話と共鳴は、人類が進歩しない、あるいは絶滅するという失望を超越し、計算機自然の新しい喜び、悲しみ、そして涅槃を日常に実現する可能性を内包する。それは新しい自然の実装であり、遊牧民のように定住しながらも共有可能なコモンズを生成する。これは、人類が絶滅する前に、新人類としての思考の進化への新たな道筋となるだろうとしている。

 また、「有機的な変形ミラー」は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で落合がテーマ事業プロデューサーを手がけるシグネチャーパビリオン 「null²」の動く外装の実装実験を兼ねている。常に新奇性のある作品づくりに挑戦し続ける落合の最新の試みとなっている。