EXHIBITIONS

Matsutani Hardedge, 1970’s|松谷武判

2023.09.22 - 10.21

松谷武判 Stream Red 1972 Courtesy the artist and Hauser & Wirth (c)Takesada Matsutani

 TARO NASUで「Matsutani Hardedge, 1970’s|松谷武判」が開催されている

 松谷武判は1937年大阪生まれ、パリを拠点に制作活動中。60年に具体美術展に初出展した際、木工用ボンドを用いた抽象絵画作品を吉原治良に認められ、63年に具体美術協会会員となる。66年フランス政府留学生選抜第1回毎日美術コンクールでグランプリを受賞し渡仏。以降、平面、立体、パフォーマンスなど多彩な作品を発表し続けている。

 66年に渡仏した松谷は67年、スタンリー・ウィリアム・ヘイターの主宰するAtelier17で助手として働きながら銅版画やシルクスクリーンでの制作を行う。50年にニューヨークからパリへ拠点を移したヘイターのアトリエは国際的なアーティストの交流の場となっており、ルイーズ・ブルジョア、サルバドール・ダリ、マックス・エルンスト、ジョアン・ミロ、ジョーン・ミッチェルなどの制作にも影響を与える存在であった。30歳になったばかりの松谷にとってそこは様々な芸術活動の実験的実践を目撃する刺激的な場所であり、アメリカのミニマリスム、とりわけエルスワース・ケリーに大きな影響を受けたという。

 70年代には短期間ではあるものの松谷はニューヨークで暮らし、そこでも当時ニューヨーク界隈の画廊で全盛期を誇っていたハード・エッジ・ペインティングを目にする。これを契機に、これまでも取り組んできた有機的な形態への探求にこれらの新たな刺激が加わり、色彩豊かな色面構成と即興性や偶然性を排除した緻密な構図のバランスを特徴とする松谷の「ハードエッジ」絵画が生まれた。

 本展は、60年代から70年代にかけて松谷が精力的に取り組んだ「ハードエッジ」シリーズのペインティングを中心に、近作を含む約20点の作品を展示し、その後の作品群へと続く松谷の思考の展開を読み解くことを試みる展覧会となっている。