盛圭太「眠たい名前」

　アニエスベー ギャラリー ブティックで、盛圭太の個展「眠たい名前」が開催されている。

　盛は1981年北海道生まれ。多摩美術大学卒業後、文化庁新進芸術家海外研修員としてパリ国立美術学校に在籍していた。その後パリ第VIII大学大学院美術研究科修了。

　盛は、線の起源を糸とする仮説から、糸によるドローイングシリーズ: Bug report を展開。盛が「衣を家に例えると、糸は建材を司る」と言うように、糸のドローイングには建築設計図のように緻密で幾何学的な形状が現われる。

　本展で盛は、身体から離れた事物や風景に名前を付けることによって、糸がポートレートになり得る可能性を試み、目に見える姿形が変化するとはどういうことなのかを模索している。それは具体的な誰かを特定するのではなく、まだ微睡のなかにあり、とらえどころない比喩的な状態「眠たい名前」にありながらも、その人物を克明に表す瞬間を示唆する。