EXHIBITIONS

土橋醇展 パリ、湖南ー幻想を追って

2023.09.02 - 10.22

土橋醇 イル・ド・フランス 1956(昭和31)
油彩、キャンバス 162.0 × 130.0 cm 郡山市立美術館蔵

 郡山市立美術館で 「土橋醇展 パリ、湖南ー幻想を追って」が開催されている。

 本展は、1950年代と1960年代にパリを中心に活躍した画家・土橋醇の回顧展だ。土橋は1909(明治42)年、日本画家の土橋三郎と初枝との間に、東京小石川に生まれた。本名は醇一。父の三郎は東京美術学校を1911(明治44)年に卒業するも、その翌年に紫斑病により28歳で逝去。土橋は祖父母のいる安積郡赤津村(現在の福島県郡山市湖南町赤津)へ転居。川端画学校を経て、1933(昭和8)年、東京美術学校油画科へ入学し、岡田三郎助教室で学ぶ。

 卒業後はパリに赴くも第二次世界大戦勃発により帰国。戦後再渡仏し、1950年代に藤田嗣治をはじめ菅井汲、田淵安一、堂本尚郎、佐藤敬らとともにパリに滞在し、アンフォルメル運動などの影響を受けた。以降、実景をもとにした抒情的抽象ともいうべき画風で、パリのギャルリー・フリッケーを拠点に、ドイツなどで個展を開催し、高い評価を得た。1978年没。

 本展では、土橋の作品約100点を展示し、彼の画業を初めて明らかにするとともに、戦後日本の抽象表現における彼の再評価につなげるものとなっている。