EXHIBITIONS

⻘木豊「親密さの諸段階」

2023.08.26 - 09.30

⻘木豊 Untitled 2023 © Yutaka Aoki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

 KOSAKU KANECHIKAで、⻘木豊の個展「親密さの諸段階」が開催される。

 ⻘木は、絵画の視野を広げ、世界と絵画の関係とその新しい可能性を追究する制作活動を行っている。二次元と三次元を自由に行き来するような作品や、素材の物質性や制作方法自体、そして鑑賞者の視線の動きの相互反応にフォーカスした作品を制作している。

 青木は刻々と変わる絵画の表情を、時間軸で瞬間としてとらえようと試みている。とくに⻘木は一貫して光へのアプローチとして、 光が時間軸、鑑賞者の存在、展示空間などの環境の要素に補完され、有機的に立ち上がるような豊かさを捉え、またいっぽうで光の存在の自明性自体を問い直している。実験と新たな発見のプロセスを繰り返すことによって、⻘木はつねに絵画そのものを再発見している。

 青木は本展について以下のステートメントを発表している。

「以前訪れたアユタヤの遺跡群には信仰が破壊された跡が刻まれていた。崩れた壁、頭部を切り落とされた仏像群。菩提樹の根元にはひときわ大きな仏像の頭部があった。仏頭は根に絡まりながらその顔を覗かせ、地面のほど近くから人々を見上げていた。ここに落ちる影は誰のものだろうか。菩提樹と仏頭、双方が混ざり合って伸びた影は菩提樹の影であると同時に菩提樹を身体とした仏頭の影でもあり、そこに立っている人々や僕の身体の一部だとも言える。僕は視界に広がっている景色とはうらはらにその環境に親密さを覚えた。日差しを受けた木を交点として、そのたもとに点在している多数の要素が接続し、浸透しあっているように思えた。この展覧会では作品から発生する出来事に身体を預け、身体のゆくえについて考えたい」。

 本展では、200号サイズの絵画から習作まで、新作約15点を展示する。