EXHIBITIONS

そこ もの こと 小瀬村真美 近藤恵介 髙柳恵里 松尾孝之

2023.08.04 - 09.02

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 MA2 Galleryで「そこ もの こと 小瀬村真美 近藤恵介 髙柳恵里 松尾孝之」が開催されている。

 小瀬村真美は1975年神奈川県生まれ。2005年東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程油画研究領域を修了した。17世紀西洋の静物画における写実描写などを参照し、写真の加工や絵画の構図などを巧みに利用した映像インスタレーションや写真作品を制作している。絵画・写真・映像のかけ合わせに豊かな可能性を見出し、近年はそれぞれのメディアが内包する空間や時間の構造を利用しながら、新たな視覚表現を追求している。

 近藤恵介は1981年福岡県生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業した。日本画の技法を用い、やまと絵に見られる構図法「吹抜屋台」などから引用した建築的な構図のなかに、植木鉢やコップなど日常にあるものを精密な描写で並列させた絵画を制作している。

 髙柳恵里は1962年生まれ。88年多摩美術大学大学院美術研究科を修了した。作品の多くはハンカチや泥、カーテン、コップなど日常的なオブジェクトによって構成され、物質としては同じ状態の見慣れた事物をまったく違うものに変貌させ、現実にある物質や品物の存在そのものと、現実離れした状態との奇跡的な共存状態を表出させる作風で知られている。

 松尾孝之は武蔵野調理師専門学校卒業後、早稲田大学芸術学校にて建築を学ぶ。2008年に渡米し、アーティスト活動を開始した。現代社会にとって無用とされがちな物事を対象に、それらを考古学の手法に習って記録、修復、保存することで「考現学」として作品化する。松尾は、経済のグローバル化やインターネットの日常化により、誰もが簡単に情報を得て、より刺激的で新しい情報や知識にばかり興味を持つ傾向について以下のステートメントを発表している。

「みる側もつくる側も大量な刺激にただ反応しているだけ、つまり一つひとつの事柄に対して深く思考しないという弊害が起こり始めている。私たちは、自分の判断基準で物事を選択できているのだろうか?『丁寧に物事を見て、丁寧に介入する』一つひとつの事柄に自分自身のやり方で時間をかけ、対応すること。微妙で難しい物事の本質を見抜く、深く理解するためには、多くの時間が必要です」。(部分抜粋)

 本展は、理解するために少々の時間を要する作品、研究の蓄積やちょっとした知識によって見え方の変わる作品、または表面的な見え方の奥に重要な気づきが隠されている作品を制作しているアーティストによる作品を紹介する。