ヌケメ「We’ll be ruined !」

　LEESAYAでヌケメの個展「We’ll be ruined !」が開催される。

　ヌケメは1986年岡山県生まれ。2008年に服飾の専門学校を卒業後に上京し、ファッションや広告業と平行してテクノロジーを活用した作品に取り組んできた。2012年に文化庁メディア芸術祭にて審査委員会推薦作品、2014年にはYouFab Global Creative Awards 2014ファイナリストにも選出されている。

　代表作のグリッチ刺繍作品は、コンピューターミシン用の刺繍データのバイナリ（2進数化された情報）を書き換え、針の動きにグリッチ（Glitch）を起こしたもの。グリッチは「データや機器の破損」「破損しているが再生可能なデータ」を指す言葉で、意図的にデータを破損させイメージやロゴを出力したヌケメの作品は、鑑賞者に認識のバグを生み出してきた。

　ある映画のセリフから引用された本展タイトル「We’ll be ruined !」は、テクノロジーやグローバルエコノミーといった「動き始めた歯車」を制御するほど成熟していない社会において、いつのまにか人がテクノロジーと経済の奴隷となっていることへのアイロニーが込められている。会場には、こうした身動きのとれない状況から生じた矛盾やおかしみを感じられる新作群が並ぶという。