EXHIBITIONS

菊池遼 個展「parousia」

2023.05.12 - 06.04

菊池遼 parousia #2 2023

 EUKARYOTEで2回目となる菊池遼の個展「parousia」が開催されている。

 菊池遼は1991年青森県生まれ、2023年に東京造形大学大学院造形研究科造形専攻美術研究領域博士後期課程を修了。シルクスクリーンなどの技法を用い、画面を荒い網点で構成した絵画を制作している。その荒い網点によって、遠くから鑑賞する時にはイメージが見えるが、近づくと点の列に還元され消えてしまう視覚効果をつくり出し、「もの」の儚さやたどり着けなさ、現象性の表現を試みてきた。

 本展では、これまでの主な作品シリーズである「void」と「idea」に加え、新シリーズ作品である「parousia」が発表されている。菊池は、主観が言葉にもとづいて世界を切り分け、それによって事物が現象するという「分節行為」を軸に作品を制作している。

 本展覧会で新たに発表する「parousia」では、これまで「void」で表現してきた東洋思想にもつながる図像に対し、「idea」で確立した輪郭線を引きなおすという手法が用いられている。そこには、菊池が表現してきた事物に対する考え方に加え、「parousia」における「その事物をかたちづくる輪郭は、世界をどのように切り分けたとしても常に輪郭であるため、事物よりも輪郭の方こそが実在する」というメッセージが込められている。