東京・京橋のアーティゾン美術館で3つの新展示「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」「創造の現場 ー映画と写真による芸術家の記録」「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 読書する女性たち」が開催される。会期はいずれも9月9日〜11月19日。
同館の石橋財団コレクションと現代美術家の共演「ジャム・セッション」の第4弾となるのは、画家・山口晃とのコラボレーション企画「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」だ。
西欧の近代絵画と日本の近代絵画を蔵する石橋財団コレクションを前に山口は「日本は近代を接続し損なっている、いわんや近代絵画をや。写実絵画やアカデミズム絵画に対する反動としての、あるいはその本来性を取り戻すためのものが西欧の〈近代絵画〉であろう。が、写実絵画やアカデミズム絵画の歴史を持たぬ本邦に移入された近代絵画とはなんであろう」と述べている(プレスリリースより)。
山口がジャム・セッションの対象として選んだのは、雪舟の《四季山水図》とポール・セザンヌの《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》。本展では、山口の原画に加えて、これらの作品と関連した山口によるインスタレーションや自由研究を展示。「近代」「日本的コード」「日本の本来性」とは何かを問う内容となる。
同時期に開催される展覧会「創造の現場 ー映画と写真による芸術家の記録」では、同館の前身となるブリヂストン美術館映が発足させた映画委員会による記録映像「美術映画シリーズ」を紹介するとともに、取材対象となった芸術家たちによる作品、そしてその芸術家たちを撮影した写真家・安齊重男(1939〜2020)による写真作品を展観する。
「美術映画シリーズ」とは、同館創設者・石橋正二郎の長男である石橋幹一郎が主導したプロジェクト。1964年までに61人の芸術家を取材し、梅原龍三郎(1888〜1986)や高村光太郎(1883〜1956)、前田青邨(1885〜1977)といった日本の芸術家たちの制作風景や日常の様子を記録した17本の記録映画は、現在において貴重な資料となっている。
本展は、同館コレクションに国内の美術館からの借用作品を加えた約80点で構成。日本の近現代美術の制作現場を概観することができるまたとない機会となるだろう。
また4階展示室では、石橋財団コレクションのなかから「読書する女性たち」にフォーカスした特集コーナーも展示。女性が読者として描かれたアンリ・マティスやメアリー・カサット、山下新太郎らの作品が紹介されるという。同時期に開催されるこれらの3つの展示は、ぜひあわせてチェックしてほしい。