元永定正の 「写真」

　The Third Gallery Ayaで 「元永定正の 『写真』」が開催される。
　
　元永は1922年三重県生まれ。55年 「具体美術協会（具体）」に参加し、16年間中心メンバーとして吉原治良に師事する。未知なる自然を創作の源とし、色水をビニール袋に入れ吊るした作品や煙を使ったパフォーマンスなど、斬新な素材を用いて自然現象を表現した実験的な作品を発表。その後、絵具や塗料を直接キャンバスに流し込み、川の流れや細胞分裂といった自然現象を示唆するような流動的な抽象絵画 「たらし込み」を発表し注目を集めた。2022年の生誕100年には三重県立美術館をはじめ各地で記念展が開催。また、具体の大規模な展覧会も大阪中之島美術館と国立国際美術館で開催された。

　様々なメディウムを使い多彩な作品を制作した元永は、写真作品も手掛けていた。本展では1993年に発表した作品を展示する。

　30年前、美術界では写真は記録のためのメディウムとしてとらえられており、作品として扱うことは、まだ本格的に始まったばかりであった。美術界のヒエラルキーを軽々と乗り越え 「写真」も面白がった元永の作品に注目したい。