EXHIBITIONS

開館10周年記念展 第1部

若冲と一村 ー時を越えてつながるー

2022.12.25 - 2023.06.04

伊藤若冲「花卉雄鶏図」(部分)江戸時代中期 18世紀中頃岡田美術館蔵

左:田中一村 熱帯魚三種 昭和48年(1973年)© 2023 Hiroshi Niiyama 岡田美術館蔵
右:田中一村 白花と赤翡翠 昭和42年(1967年)© 2023 Hiroshi Niiyama 岡田美術館蔵

伊藤若冲「月に叭々鳥図」(部分)江戸時代中期18 世紀後半岡田美術館蔵

 岡田美術館では開館10周年を記念し、同館で人気の高い画家4人を、2人ずつ2部に分けて展覧会を開催。その第1部として「若冲と一村 ー時を越えてつながるー」が開催されている。

 伊藤若冲(1716年〜1800年)は江戸中期の画家。京都の青物問屋「枡屋」の長男として生まれる。裕福な環境のもと、独学で作品を制作。細部まで描き込まれ、極彩色で彩られた絹本着色の作品や、勢いと繊細さを兼ね備えた筆遣いとユーモラスな表現が特徴の水墨画は、日本美術史上でも異彩を放つ。

 田中一村は1908年栃木県生まれ。本名は田中孝。彫刻師であった父親の指導により若くして画才を開花させ、17歳で東京美術学校(現・東京藝術大学)に入学する。しかし2ヶ月余りで退学し、その後は独学で制作を行う。画壇から離れて制作を行うようになり、50歳にして鹿児島県・奄美大島へ移住以降、亜熱帯の植物や鳥などを題材とした新たな日本画の世界を切り拓いた。

 若冲と一村は生涯独身を通し描くことだけを生き甲斐とし、2人の画業からは徹底された写生や、あでやかな彩色、画面に行き渡る緊張感など、類似する点が見られる。このような生き方・作品の全体を通じ、岡田美術館の館長・小林忠は、一村を「昭和の若冲」と称している。

 本展覧会では、若冲が精力的に描いた30代末頃~40代の着色画と、一村の奄美大島在住時代の代表作、それぞれの墨絵、同じ種類の鳥を描いた絵など、2人の絵を様々に組み合わせて展示している。若冲7件・一村7件の作品を中心に、関連画家の作品、伝統的な花鳥画の屏風絵などを併せた40件の多彩な作品を堪能することができる。