松田将英 個展「Extreme Conceptual / Next Level」

　EUKARYOTEは、松田将英の個展「Extreme Conceptual / Next Level」を開催（2022年末にスタートした会期を延長、展示内容を一部アップデートする）。

　1986年生まれの松田は、インターネット社会を鋭く批判しながらも、その仕組みに染まらず、視覚的・構造的な側面のみを利用し、テクノロジーから派生する社会的・文化的な問題を顕在化させるアーティストとして知られている。その活動が高く評価され、2016年にはアルス・エレクトロニカ賞にて、日本の個人では初となるデジタルコミュニティ部門を受賞。20年にベルリンから帰国し、実名での活動を続けている。

　本展「Extreme Conceptual」は、歌舞伎町の路上に設置したNFT自動販売機や、巨大な絵文字バルーンで話題となった《The Laughing Man》、東京2020オリンピック・パラリンピックと同時期に発表され、国内外のメディアで多数紹介された《Ripples》、ハッシュタグ投稿数で価格が決まる《Portrait》、さらに作品販売にサブスクリプションシステムを導入した《White Magazine》など、代表的な過去作のインスタレーションで構成される。

　同時に、これまで語られることの少なかったコンセプト、ドローイング、独自のセオリーを含むプロポーザル資料、そして背後に忍ばせたタグラインも公開。アートのみならず、マーケティングやコンサルティングで用いられるフレームワークから、ソーシャルイシュー、技術トレンド、スピリチュアルにまで及ぶ横断的なリファレンスのカットアップが初めて公開される。

　ギャラリー3階にて公開される映像作品で松田は、哲学者ティモシー・モートンの言葉「分析すればするほど、物事が曖昧になる」を引用。過去作展であり新作展でもある今回の個展で、鑑賞者にさらなる揺さぶりをかける。