EXHIBITIONS

川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり

川内倫子 無題(シリーズ「M/E」より) 2019

川内倫子 無題(シリーズ「M/E」より) 2020

川内倫子 無題(シリーズ「4%」より)2013

川内倫子 無題 (シリーズ「An interlinking」より) 2015

川内倫子 無題(シリーズ「光と影」より) 2011

川内倫子 無題(シリーズ「あめつち」より) 2013

川内倫子 無題(シリーズ「M/E」より) 2021

川内倫子 無題(シリーズ「M/E」より) 2021

 東京オペラシティ アートギャラリーで、「川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり」展が開催される。写真家・川内倫子の、国内の美術館では約6年ぶりとなる大規模個展。

 川内は1972年滋賀県生まれ。2002年に写真集『うたたね』『花火』(リトルモア)の2冊で第27回木村伊兵衛写真賞を受賞。柔らかい光をはらんだ淡い色調を特徴とし、初期から一貫して人間や動物、あらゆる生命がもつ神秘や輝き、儚さ、力強さを撮り続けている。身の回りの家族や植物、動物などの儚くささやかな存在から、長い時を経て形成される火山や氷河などの大地の営みまで等しく注がれる川内のまなざしは、それらが独自の感覚でつながり、同じ生命の輝きを放つ様子を写しとっている。

 本展では、川内の10年の活動に焦点を当て、未発表作品を織り交ぜながらその作品の本質に迫る。会場デザインは建築家・中山英之が手がける。

 展覧会タイトルでもある「M/E」は、本展のメインとなる新作シリーズだ。「M/E」とは、「母(Mother)」「地球(Earth)」の頭文字であり、続けて読むと「母なる大地(Mother Earth)」、そして「私(Me)」となる。アイスランドや北海道の氷河や雪景色と、コロナ禍で撮影された日常の風景とは、一見するとかけ離れた無関係のものに思えるが、どちらも私たちの住む地球上で起こっており、川内の写真はそこにあるつながりを意識させるという。

 本展は写真や映像などを通して、川内の創作の本質や問題意識の核に迫るとともに、人間の命の営みや自然との関係について改めて問い直す機会ともなるだろう。