EXHIBITIONS

ミヤギフトシ「American Boyfriend: Portraits and Banners」

2022.09.27 - 10.29

キービジュアル

 void+では、ミヤギフトシによる「American Boyfriend: Portraits and Banners」展が開催。本展は、Yutaka Kikutake Galleryでの個展(9月27日~10月22日)との同時期開催となる。

 ミヤギは1981年沖縄県生まれ。2005年ニューヨーク市立大学卒業。ニューヨークのアートブックショップ・Printed Matterで働き始め、作家活動をスタートさせた。現在、セレクトブックショップのユトレヒト(東京)で勤める傍ら、XYZ collectiveの共同ディレクターも務めている。

 本展覧会のタイトル「American Boyfriend」は、ミヤギが2012年より現在進行形で取り組んでいるプロジェクト名だ。「沖縄で沖縄人男性とアメリカ人男性が恋に落ちることは可能かについて」をテーマに、文化、政治、歴史的な視点を踏まえながら、ミヤギ個人の記憶や体験とフィクションを織り交ぜた物語を展開してきた。

 このプロジェクトでミヤギは、出身地の沖縄や、セクシュアル・マイノリティとしてのアイデンティティに向き合いながら、ブログをベースに写真や映像、様々な形態の印刷物など多岐にわたる手法で表現している。

 今回、会場のひとつとなるvoid+では、ミヤギの小説集『ディスタント』(河出書房新社出版)の登場人物「Y」や、「American Boyfriend」に登場してきた人物たちのポートレイト作品を中心に構成。また写真作品「感光」と、映像作品「感光の数分間」シリーズからは今年撮影した新作を発表する。

 いっぽうYutaka Kikutake Galleryでは、作家がたびたびモチーフとして扱ってきた「banner(旗)」に刺繍でテキストが綴られる作品のほか、写真と映像作品からなる「American Boyfriend」の新作を発表する。

 スタートから10年が経つ「American Boyfriend」プロジェクト。戦後から現在まで続く分断された沖縄の地や、様々な社会との隔たりのなかで抑圧され、気づかれずにこぼれ落ちていく感情や小さな声を拾い、ささやかな抵抗として物語を語り続ける。