エカテリーナ・ムロムツェワ個展「Women in black／戦争に反対して黒衣を着る女性たち」

　越後妻有里山現代美術館 MonETでは、ロシアの作家エカテリーナ・ムロムツェワによる展覧会「Women in black／戦争に反対して黒衣を着る女性たち」が開催。本展は、現在開催中の「越後妻有 大地の芸術祭 2022」の作品として発表される。

　ムロムツェワは1990年モスクワ生まれ。哲学と舞台美術のバックグラウンドを持つビジュアル・アーティスト。その芸術実践は、社会の階層性や文化的システムにおける、歴史的な物語を更新する可能性や実際の連帯の可能性の新しい存在形態を見出そうとするものだ。叙情的、コンセプチュアルな方法で個人的・集団的記憶を探る作品を制作しており、大型な絵画をはじめ、ビデオやインスタレーション、社会参加型アートなど様々なジャンルの作品を展開している。その実践から、Forbes Russia主催の次世代を担う30名のひとりとしてイノベーション賞を受賞している。

　日本では2021年の北アルプス国際芸術祭に参加し、開催地である長野県の信濃大町の歴史につながる作品や、住民たちの姿をモチーフにした作品を出展。瀬戸内国際芸術祭2022では、男木島で子供たちが参加する「学校の先生」が夏会期に公開される。

　越後妻有 大地の芸術祭 2022の作品となる本展では「Women in Black」を発表。これは、ロシアの様々な都市で行われた、黒い服を着て白い花を手にした女性たちによるウクライナ侵攻反対の抗議活動の波に捧げられたシリーズで、「今日」という「歴史上の重要な瞬間」のドキュメントであるような一連の新作には、勇気をもって戦争に抗議して行動する人との連帯感や、社会の歴史に起きる変化への関心といったメッセージが込められている。なお作家の意向により出展作は販売され、販売収益をウクライナ避難民支援のために寄付する予定だ。

　またムロムツェワは8月5日から8月28日まで、東京・代官山のアートフロントギャラリーにて個展「Breaking History」を開催。「Women in Black」シリーズに加え、米国バージニア州リッチモンドにある南軍司令官ロバート・E・リー将軍の騎馬像を撤去する過程を描いた「Take Lee Down」シリーズという、2つの独立した絵画シリーズを展示する。