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華氏451の芸術・再考

森村泰昌 独裁者を笑えープロパガンダ03 2010/22
ヨコハマトリエンナーレ2014:消滅のためのラストショー「Moe Nai Ko To Baを燃やす」(2014年10月11日)

森村泰昌 独裁者を笑えープロパガンダ03 2010/22

 モリムラ@ミュージアムの第7回企画展「森村泰昌 華氏451の芸術・再考」が開催されている。

  1985年より、セルフポートレイトの手法による写真作品を制作し続けている美術家・森村泰昌。いまから8年前、森村はヨコハマトリエンナーレ2014の芸術監督を務め、レイ・ブラッドベリのSF小説からとって、「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」というタイトルをつけた。

 レイ・ブラッドベリが1953年に発表した『華氏451度』は、書物が禁止された近未来の世界を描いた物語だ。森村はヨコハマトリエンナーレ2014を振り返り、「検閲や弾圧によって抹殺されてしまえば、もはやそれらはこの世には存在しないことにされてしまう。あるいは、情報化されたいわゆる『見える化』社会には決して見えることのない領域(=忘却世界)も確実にある。こうした忘却世界に向けられたまなざしの力こそ『芸術』なのだとかたく信じつつ、このタイトルに行きついたのだった」と述べている。

 本展は、ヨコハマトリエンナーレ2014を「たったひとりのトリエンナーレ」として再考するものであり、森村が当時を思い起こしながら「華氏451の芸術」の2022年版を構成する。

 展示はヨコハマトリエンナーレ2014の公式ポスターからはじまり、ある一冊の本をきっかけにエルミタージュ美術館で制作した写真作品、ロシアの詩人アンナ・アフマートワの記念館で撮影された記録写真、そしてヨコハマトリエンナーレ2014最終日の「消滅のためのラストショー:Moe Nai Ko To Baを燃やす」におけるパフォーマンスののち、燃え残った書物『Moe Nai Ko To Ba』の公開で締めくくられる。

「今から8年前、第5回横浜トリエンナーレの芸術監督を務めたのだが、このヨコトリに、レイ・ブラッドベリのSF小説のタイトルを借りて、『華氏451の芸術―世界の中心には忘却の海がある』というタイトルをつけた。あの8年前を思い起こしながら、『華氏451の芸術』の2022年版を、いわば『たった独りのトリエンナーレ』として再考してみたい。2014年の横浜トリエンナーレは、私のなかでまだまだ終わりそうにない(森村泰昌)」。