EXHIBITIONS

圓教寺×杉本博司「Five Elements 五輪塔 ― 地 水 火 風 空」(前期)/ 「Noh Climax 能クライマックス ― 翁 神 男 女 狂 鬼」(後期)

書寫山圓教寺 常行堂
2022.04.29 - 08.31, 2022.09.17 - 12.04

書寫山圓教寺常行堂 喜多流能楽師 大島衣恵

常行堂 展示風景
Photo by Sugimoto Studio
© Hiroshi Sugimoto

常行堂 展示風景
Photo by Sugimoto Studio
© Hiroshi Sugimoto

杉本博司 光学硝子五輪塔 相模湾、海光 2012/2011
小田原文化財団蔵
© Hiroshi Sugimoto

 現代美術作家・杉本博司を迎えた展覧会が姫路市の書寫山圓教寺 常行堂で開催。重要文化財に指定される建造物で、前期「Five Elements 五輪塔 ― 地 水 火 風 空」と後期「Noh Climax 能クライマックス ― 翁 神 男 女 狂 鬼」に分けて、インスタレーションを展開する。

 杉本は写真、彫刻、インスタレーション、演劇、建築、造園、執筆、料理と多岐にわたる分野で活躍し、世界のアートシーンにおいて地位を確立してきた。写真の代表作に「海景」「劇場」「建築」シリーズなど。また建築家の榊田倫之とともに建築設計事務所「新素材研究所」を設立し、MOA美術館(静岡)の改装などでも知られる。2017年には構想に20年を要した文化施設「小田原文化財団 江之浦測候所」をオープンさせた。

 杉本のアートは歴史と存在の一過性をテーマとし、そこには経験主義と形而上学の知見をもって、西洋と東洋との狭間に観念の橋渡しをしようとする意図があり、時間の性質、人間の知覚、意識の起源といったテーマを探求している。古美術・伝統芸能に対する造詣も深く、演出を手がけた公演『杉本文楽 曾根崎』は海外でも高い評価を受けている。 

 本展は、姫路市立美術館が中心となって、姫路の二大文化資源である姫路城と圓教寺をつなぎ、新たな姫路の魅力を発信する「オールひめじ・アーツ&ライフ・プロジェクト」の一環として杉本を招聘し、その芸術世界を姫路の地で展開する。

 前期「Five Elements 五輪塔 ― 地 水 火 風 空」では通常非公開の圓教寺 常行堂において、《阿弥陀如来坐像》(重要文化財)と杉本作品《光学硝子五輪塔》によるインスタレーションを展示。続く後期「Noh Climax 能クライマックス ― 翁 神 男 女 狂 鬼」では、能の「五番立て」構成である「神男女狂鬼」に特別編として「翁」を加えた映像インスタレーション《Noh Climax》を公開する。

 世界の構成要素である「地水火風空」を形象化した五輪塔、そして能の定番にして日本文化の普遍的テーマでもある「神男女狂鬼」。時間・歴史・人間の意識をテーマとする杉本芸術の壮大な世界観が、見る者を古の世界へと誘う。