EXHIBITIONS

特別展示:マシュー・バーニー

2022.05.21 - 09.11

マシュー・バーニー 拘束のドローイング8:誕生の裂片 2003
金沢21世紀美術館蔵 © Matthew BARNEY

マシュー・バーニー 日新丸のキャビネット 2006
Courtesy of Matthew Barney and Fergus McCaffrey Fine Art

参考画像
All Artworks © Matthew Barney.
Photo by Ryuichi Maruo.
Courtesy of Fergus McCaffrey

 金沢21世紀美術館が「特別展示:マシュー・バーニー」を開催。マシュー・バーニーが1987年より取り組む「拘束のドローイング」シリーズ9番目の作品《拘束のドローイング9》を中心に、関連作品を紹介する。

 80年代より彫刻、映像、パフォーマンス、またそれらを融合させた作品を多く手がけてきたバーニー。彫刻と映像の密接な関係を通して、身体感覚とバーチャルな情報感覚の融合を試み、現代美術の分野においてつねに注目されてきた。

 今回展示する《拘束のドローイング9》は、2005年に金沢21世紀美術館で開催されたバーニーの国内初の大規模個展で、「拘束のドローイング」シリーズの新作として世界初公開された作品。捕鯨や茶道といった日本文化をテーマに、映画、彫刻インスタレーション、写真など多彩なメディアで展開される本作品は、日本を中心に撮影され、バーニーの日本文化に対する新鮮なヴィジュアルの解釈が反映されている。またアイスランド出身の音楽家ビョークが映画音楽と展示インスタレーションの音楽を担当し、映画においても共演するなど、話題を呼んだ。

 また《拘束のドローイング9》の展示にあわせ、同名映像作品をモニター上映するほか、映画に登場する重要なキャラクターであり場所でもある捕鯨船「日新丸」の立体作品や写真作品、そして同館コレクションの《拘束のドローイング8:誕生の裂片》もあわせて紹介する。

「拘束のドローイング」シリーズは、そのタイトルから連想されるように、ドローイングを行う際に身体に拘束、制限を与え、そこから生まれる未知のかたちに挑戦するという意味がある。公開から17年を経た現在においても、人間の身体とそれを取り巻く世界、あるいは身体内での活動、エネルギーの問題を主題とする作品に込められたメッセージは私たちの心に強く響くだろう。

 本展示を通じ、普遍的なテーマである人間の身体と環境、その関係性におけるバーニー独自の視点と作品世界を楽しみたい。