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村上華子

Hanako Murakami

 村上華子は1984年生まれ。2007年東京大学文学部を卒業、09年に東京藝術大学大学院映像研究科修士課程修了。ベルギー政府奨学生、パリでポーラ美術振興財団在外研修員、ル・フレノワ:フランス国立現代アートスタジオ所属を経て、現在はフランスを拠点に活動。写真の古典技法や活版印刷術など過去のものとされるメディアに関心を寄せ、緻密なリサーチに基づく写真やテキストによる作品を制作している。20世紀初頭のカラー写真技法「オートクローム」から着想を得た《ANTICAMERA (OF THE EYE) #P》(2016)では、未使用の状態にある約1世紀前のオートクロームの乾板を現像して引き伸ばし、網膜の類比として「イメージが通過する空間」を表現。時にこれら複製技術にまつわる逸話や自身の経験から語るテキストを交えながら虚実を往来し、「見ること」の構造を調査している。

 近年の個展に、「クリテリオム96 村上華子」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、2019)、「ANTICAMERA (OF THE EYE)」(タカ・イシイギャラリー、東京、2016)、「ANTICAMERA(OF THE EYE)」(第一生命ギャラリー、東京、2017〜18)。主なグループ展に「資本空間 ― スリー・ディメンショナル・ロジカル・ピクチャーの彼岸:村上華子」(gallery αM、東京、2015)、「パノラマ17」(ル・フレノワ:フランス国立現代アートスタジオ、トゥルコアン、2015)、「日常の実践」(国際芸術センター青森、2011)などがある。19年、アルル国際写真フェスティバル新人賞にノミネートされた。