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田中一村

Isson Tanaka

 田中一村は1908年栃木県生まれ。本名は田中孝。彫刻家であった父親の指導により若くして画才を開花させ、26年、18歳で東京美術学校(現・東京藝術大学)に入学。同期は東山魁夷、橋本明治ら。しかし、2ヶ月余りで退学し、その後は独学で制作を行う。47年に第19回青龍社展に入選するも、その後は日展や院展に相次いで落選。画壇から離れて制作を行うようになり、58年、50歳にして鹿児島県・奄美大島へ移住。以降、亜熱帯の植物や鳥などを題材とした新たな日本画の世界を切り拓いた。代表作に3種類の異なる魚が縦に並んだ《熱帯魚三種》(1973)などがあるが、奄美時代の作品で現存しているものはわずか30点ほどとされる。1977年没。なお、奄美大島には一村のコレクションを常設展示している田中一村記念美術館がある。2018年には回顧展として「田中一村の絵画-奄美を愛した孤高の画家」(岡田美術館、神奈川)、「生誕110年 田中一村展」(佐川美術館、滋賀)が開催された。