EXHIBITIONS

田中一村展 奄美へとつづく道

2021.05.12 - 06.06

田中一村 奄美の海に蘇鐵とアダン 1961(昭和36) 田中一村記念美術館蔵 © Hiroshi Niiyama 2021

田中一村 初夏の海に赤翡翠 1962(昭和37)頃 田中一村記念美術館蔵 © Hiroshi Niiyama 2021

田中一村 菊図 1915(大正14) 個人蔵 © Hiroshi Niiyama 2021

 美術館「えき」KYOTOで、画家・田中一村の画業を一望する展覧会「田中一村展 奄美へとつづく道」が開催されている。

 1908(明治41)年、木彫家の父のもとに生まれた田中一村(本名・孝[たかし])は、幼少期より画才を発揮し、7歳の時に父から「米邨(べいそん)」の号を与えられた。1926(大正15)年に東京美術学校に入学するも、わずか2ヶ月で退学し、数年は南画家として活動。しかし23歳の時に南画と決別し、30歳で移住した千葉で20年間、風景や動植物の写生に明け暮れた。

 その間、美術団体・青龍社に出品し入選。39歳で念願の画壇デビューを果たし、「米邨」から「一村」へと改名するも、その後の日展や院展ではことごとく落選。以後、中央画壇との関係を断った一村は、50歳の時、新天地を求めて奄美大島へと渡り、1977(昭和52)年に69歳で亡くなるまでの19年間、奄美の亜熱帯の多様な自然に魅了されて、その風景を独自の画風で描き続けた。

 本展では若き南画家としての栃木~東京時代、新しい画風を模索し「一村」と名を変えた千葉時代、そして亜熱帯の植生と出会い、新たな表現に挑戦しひたすら描き続けた奄美時代と、大きく3つの章に分けて一村の画業を紹介する。