青いローブをまとったキリストが右手で天を指さし、左手に水晶を持っている一枚の絵。レオナルド・ダ・ヴィンチの《サルバトール・ムンディ》は11月15日、4億5031万2500ドル(約508億円)で落札され、世界最高額の絵画として世界中にそのニュースが駆け巡った。
500億円を超える超高額作品をいったい誰が落札した(できた)のか? これについては様々な憶測が飛び交ったが、ここにきて中東の美術館が新たな展開を予感させるアクションを起こした。
「Da Vinci's Salvator Mundi is coming to #LouvreAbuDhabi(ダ・ヴィンチの《サルバトール・ムンディ》がルーヴル・アブダビにやってきます)」。この一文とともに、ルーヴル・アブダビが同作の画像をInstagramに投稿したのだ。
同館は、今年11月11日にアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに開館したルーヴル美術館の別館。フランスの著名建築家、ジャン・ヌーヴェルによるデザインで、約8000個のメタル製の星で構成された直系180メートルのドームが全体を覆う、これまでにない美術館だ。同館では600点の所蔵作品に加え、パリのルーヴル美術館をはじめとするフランス国内13の美術館・博物館から貸し出された300点が展示されている。
《サルバトール・ムンディ》については、同作を出品したクリスティーズも同じくInstagramで「Congratulations - the Salvator Mundi is going to its new home @louvreabudhabi(おめでとうございます。《サルバトール・ムンディ》は新たなホームであるルーヴル・アブダビに行きます)」と投稿しているが、果たしてルーヴル・アブダビが同作を所有しているのか、あるいは別の落札者からローンしているのかなどは明らかにされていない。
奇しくもルーヴル本館の《モナリザ》と対比するように語られる《サルバトール・ムンディ》。同作はアブダビの永続的なアイコンとなるのだろうか? 今後の動向を注視したい。