東京藝術大学は、READYFORとの業務提携により、クラウドファンディングプログラム「東京藝大×クラウドファンディング」を立ち上げた。その一環として、4月から「バシェ音響彫刻修復プロジェクト」の資金調達がスタートしている。
音響彫刻とは、フランスの彫刻家、フランソワ・バシェとベルナール・バシェの兄弟により、音響学の原理を応用して制作された独特の音を奏でるオブジェ。1970年の大阪万博では、鉄鋼館のプロデューサーであった作曲家・武満徹の依頼により17基が制作・展示された。
その後、ほとんどが解体され、手付かずの状態で保管されていたが、2010年の万博記念公園のEXPO'70パビリオンのオープンを機に1基が修復され、その後京都市立芸術大学や、演奏家の永田砂知子、バシェ研究者のマルティ・ルイツらにより、4基が修復された。修復された音響彫刻が奏でる音は、先日発表された坂本龍一のニューアルバム『async』にも使用されている。
今回新たに、東京藝術大学がこれまでの修復に関わってきた専門家とともにチームを結成。3オクタープのハープ状の振動部と11枚の音響増幅板からなる「勝原フォーン」とよばれる音響彫刻の修復を行うと同時に、残りの部材の調査とアーカイブを行う。修復完了後は、今年12月に東京藝術大学美術館陳列館にて展示され、関連企画として演奏会、ワークショップ、シンポジウムも開催される予定だ。
支援は一口3000円から行うことができ、支援金額により、修復の状況を報告するニュースレターの受け取りから、完成の際のコンサートへの招待、小型の音響彫刻の贈呈まで、様々なリターンが用意されている。